
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて
必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を段階に応じて習得するもので、職場メンタルへルスに力を入れる企業が増えるとともに、近年注目を集める検定です。
この記事では、メンタルヘルス・マネジメント検定の種類について受検料金や試験頻度、難易度、勉強期間を比較し、その解説や受験体験談をお伝えします。
メンタルヘルスマネジメント検定の比較表
検定種類 | 受検料金 | 試験頻度 | 試験内容 | 合格率 | 勉強期間 |
---|---|---|---|---|---|
Ⅰ種(マスターコース) | 11,550円 | 年1回(秋頃) | 選択2時間・論述1時間 | 15~20% | 約3ヶ月 |
Ⅱ種(ラインケアコース) | 7,480円 | 年2回(春・秋) | 選択問題2時間 | 50~70% | 約1ヶ月 |
Ⅲ種(セルフケアコース) | 5,280円 | 年2回(春・秋) | 選択問題2時間 | 65~80% | 約2週間 |
いずれのコースも受験資格は特になく、Ⅰ種・Ⅱ種やⅡ種・Ⅲ種の同時受験も可能です。
検定種類 | 対象 | 目的 | 到達目標 |
Ⅰ種(マスターコース) | 人事労務管理スタッフ、 経営幹部 | 社内のメンタルヘルス対策の推進 | 自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができる。 |
Ⅱ種(ラインケアコース) | 管理監督者(管理職) | 部門内、上司としての部下の メンタルヘルス対策の推進 | 部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行うことができる。 |
Ⅲ種(セルフケアコース) | 一般社員 | 組織における従業員自らの メンタルヘルス対策の推進 | 自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができる。 |

産業保健師として受験する場合、Ⅱ種(ラインケアコース)以上の知識があると実践で役に立ちます!
メンタルヘルスマネジメント検定の解説と受検体験談
Ⅰ種(マスターコース)
メンタルヘルス・マネジメントⅠ種は、社内のメンタルヘルス対策の推進を目的とした、人事労務管理スタッフ・経営幹部向けの出題内容です。Ⅱ種・Ⅲ種と比べて、より実践的で深い知識を必要としています。
合格率は15~20%と、難易度が高いため、しっかりとした勉強期間が必要です。Ⅱ種・Ⅲ種試験と違い、選択問題以外に論述問題があるため、あいまいな知識では正答できず、そのため難易度が高くなっています。

Aさん(大企業 総務部所属)
Ⅰ種については、組織レベルでメンタルヘルス問題を解決するために必要な知識を広く学ぶことができます。一個人としてではなく、企業の視点からメンタルヘルスを考える力を身につけることができるため、学んだ知識を応用しながら自社のメンタルヘルス対策に適用していくことが可能になると思います。
なお、Ⅰ種の学習にあたっては、大阪商工会議所が主催する「受験対策WEB講座(全4回)」を受講しました。重要ポイントを押さえることができるとても分かりやすい講義のため、効率的な学習につながりました。

Bさん(大企業 安全衛生推進センター所属)
本検定Ⅰ種マスターコースのテキストは全9章で400ページを超えた内容構成となっていますが、企業にてメンタルヘルスマネジメントに従事する立場にとっては必要不可欠の知識がしっかりとまとめられた素晴らしい内容になっています。また、この領域で活動されている方々の間でも認知度の高い検定試験であり、特にI種マスターコースの受検準備で得られた知識は現場における職務遂行において、とても役立つものです。
Ⅰ種公式テキスト(税込み¥4,730)や受験対策講座を利用して勉強する人が多く、難易度の高さから複数回受験してやっと合格したという人も多くいます。いずれも、Ⅰ種の試験勉強は現場ですぐに活かせる知識ばかりだという口コミが多かったです。
Ⅱ種(ラインケアコース)
メンタルヘルス・マネジメントⅡ種は、部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進を目的とした、管理監督者(管理職)や衛生担当者向けの検定です。
合格率は50~70%と、試験日によってバラつきがあり、難易度は中程度と言えるでしょう。法律や統計データなどの出題範囲も含まれるため、メンタルヘルスの基礎知識のある人でも公式テキストを利用して勉強することが推奨されます。
看護師や保健師資格のある人にとっては、「精神疾患の治療や症状」など、基礎知識のある分野では復習程度の学習で済むため、法律などの数字を覚えることに集中できるといえます。

ツナコ(企業所属 産業保健師)
試験日程の約1ヶ月前から、公式テキストに沿った過去問集で勉強を始めました。医療分野は基礎知識があるため軽く流す程度で、その他の分野に時間を割きました。過去問集のため、改正された法律や制度には注意を払い、解答の解説内容が古くないかその都度ネット検索をしながら知識を定着させました。試験当日はだいぶ時間を余らせて問題を解き終わり、十分に見直しもできたため満点近くの結果を出せました。選択問題のため、数字や年号をド忘れしていても選択文の中にたくさんヒントを見つけて思い出すことができ、比較的焦らずに回答することができました。
検定での勉強はすぐに実務に活かせるものばかりで、個人的には管理職昇進試験の1つに加えて欲しいと思うほど。転職活動中、筆記試験がある企業ではこのメンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の内容を抜粋したものが出題されました!
Ⅲ種(セルフケアコース)
メンタルヘルス・マネジメントⅢ種は、組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進を目的とした、一般社員向けの検定です。
合格率は65~80%と、難易度は低~中程度です。Ⅱ種と比較して、企業で団体受験をする場合が多く、それにより合格率にバラつきがみられると推測します。
企業等に属する一般社員だけでなく、自分のメンタル不調を自覚して参考のために勉強を始めたという口コミも多く、色々な状況や立場の人も参考になる検定内容と言えそうです。

Cさん(40代 女性)
自分や大切な人のストレスへの気づきが高くなり対応の仕方などが理解できた。公式テキストは文字が坦々と書いてあり、要点毎にまとめられている物ではないので、若干読みづらさを感じた。
内容は知っていることが多いが、いざ問題として出された時に自信をもって回答できるように、知識の裏付け…という意味で、テキストが役に立ったと思うが、勉強なしでも合格できたかもしれないレベル。

Dさん(50代 男性)
公式テキストはとにかく文字がびっしりで、読む気がしないし、さすがにもう少しまとめてもらえると有難い。Ⅱ種やⅢ種は、更に分厚く文字ぎっしりで、まるで辞書のようです。公式以外での参考書を調べてみると、わかりやすくまとまっている本があるので、そちらがおすすめ。公式テキストはあくまでも「テキスト」であって「参考書」や「問題集」ではないので、読み込んで理解するしかないので、しっかり中身をみてから購入するのがいいと思います。
公式テキストは使い辛い…といった口コミが多く、特に今時のカラフルで図やグラフが多いものを想像して買うと、かなりギャップがあるようです。可能なら書店で実際に中身をパラパラ見てみて、自分の勉強法や基礎知識に合うテキストや参考書を選ぶのがいいでしょう。
まとめ
メンタルヘルス・マネジメント検定は、検定の種類によって異なる対象や目的があり、自身のキャリア目標やスキルレベルに合わせて適切な検定を選択することが重要となります。Ⅱ種(ラインケアコース)・Ⅰ種(マスターコース)の内容は、産業保健師にとってすぐに実践に活かせる内容であるため、検定に合格/不合格に関わらず、とても勉強になります。Ⅱ種の内容は、転職時の筆記試験でも出てきたくらい実務にリンクしていますので、学んで損はありません!履歴書にも書いてアピールできますし一石二鳥の検定ですので、ぜひ転職活動の合間に受験を検討してください。