産業保健師としてのキャリアは、健康管理や労働環境の安全性確保など、労働者の健康と福祉に貢献する非常に重要な役割を果たします。では、産業保健師に向いているのはどのような人なのでしょうか?現役産業保健師の視点から、産業保健師に向いている人の特徴についてお話します!
1. 医療や保健関連の知識を持っている人
産業保健師に向いている人として、まず医療や保健関連の知識を持っている人が挙げられます。産業保健師は、健康問題や病気の予防に関する豊富な医学的知識が求められます。病気のメカニズムや健康リスクの評価方法を理解し、それを簡単に分かりやすく対象者に伝え、適切なアドバイスやケアを提供できる力が必要です。
色んな病気の相談を受けます。時には自分ではなく家族の病気の相談や、テレビでやってた○○について~など、「狭く深い知識」よりも「広く浅い知識」の方が面談では役立ちます。もちろん、「広く深い」であれば言う事なしです♪
2. コミュニケーション能力が高い人
産業保健師は、労働者や企業の管理・監督者、関連する会社関係者とのコミュニケーションが欠かせません。従業員に健康相談を行ったり、管理職と協力して健康促進の施策を進めたりする際には、明確でわかりやすいコミュニケーションが不可欠です。
健康診断でお世話になる医療機関や、ストレスチェック制度でデータベースをお借りする企業など、社外の関係者とも必要に応じて連絡を取り合う必要があります。そのため、接遇を基本とした良好なコミュニケーションと信頼関係を築くことが大切です。
3. 問題解決能力がある人
労働現場で起こりうる健康問題や安全問題に対応するために、迅速で正確な判断が求められます。問題の本質を見極め、適切な対策や改善策を提案・実施する能力が不可欠です。産業保健師は、労働者や企業の課題を把握し、適切な対策や施策を提案する役割を担ってます。さらに、産業保健師は1人職場あるいは少人数で業務を行うため、相談相手が少なく抱えている問題や心配事に対して寄り添ってくれる環境ではありません。可能な限り自力で解決をしたり、管理職へ問題提起をして最善策を模索したり…と、問題解決能力がないと苦しい場面が出てくることでしょう。
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産業保健師のお仕事内容5選!
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4. 組織や法令に詳しい人
産業保健師の仕事の大部分は、労働安全衛生法や労働基準法などの法令や就業規則に基づいて行われています。法律違反になると、営業停止処分やペナルティ(罰金)を受ける時もあり、注意が必要です。産業保健師になる前から詳しく知っている必要はないので、入職後に業務と関連付けながら学ぶのがいいですよ。
私も転職前は法令・法律に関してほとんど無知の状態でした。どの法令が重要か、国へは何の報告がいるのか…会社規模や業態によっても変わるため、入職後に業務内容と紐づけて学ぶのがおススメ!
5. チームワークを大切にする人
産業保健師は、労働者や管理職、時には社外の関係者と協力して、業務に取り組むことが多いため、チームワークを大切にすることが重要です。「健康経営」や「衛生施策」など、会社全体を巻き込んだプロジェクトの場合では特に色々な人の協力が必要になります。メインとなる面談業務であっても、労働者の不安や問題事を取り除くために、管理職や同僚などにアプローチする場面があり、「人を動かす力」が重要になってきます。
6. 計画性のある人
健康促進のプログラムや予防活動の実施には、計画的なアプローチが必要です。会社全体を巻き込んだプロジェクトや、メンタルでの復職支援などでは、数ヶ月単位での取り組み・関りが必要なことがほとんどです。「提出や実行期限まで、まだ余裕があるから…」と後回しにしていると、イレギュラーな相談事やトラブルで思いがけず時間を割かれてしまい、期限ギリギリで慌てる…という事態になりかねません。できるだけ、前倒しで業務を進めて、イレギュラー事案が発生してもいいよう、余裕のある計画がたてられるといいですね。
労災事故や発病での支援など、予測できない事態が結構起こります。「早く終わらせちゃったから、今日は暇だわ~」くらいが、ちょうどいいかも!同じ相談なら、忙しそうな人よりも余裕のある人にしたいですよね♪
7. 問題分析とデータ分析能力
労働環境や健康リスクに関するデータを収集し、それをもとに問題を分析し改善策を提案する能力が必要です。ストレスチェックや定期健康診断の結果を分析して、職場の潜在的・顕在的な健康問題を抽出し、それに対する具体的な解決策を出すことが必要になってきます。データに基づくアプローチを行うことで、効果的な健康管理施策を展開することができます。
統計学など、専門的な分析方法を知っている人はより深くデータ分析が可能!ぜひ、職場改善や健康経営施策に結び付けて♪
8. 継続的な学びと専門知識の更新
これは、どんな職業・業界でもいえることです。その中でも特に、医学や法律、産業保健に関する情報は常に更新されています。最新の研究成果や法令の変更に敏感に反応し、自己研鑽を怠らない姿勢が重要です。
最近では、「特定保健指導 第4期」で「評価基準の数値(空腹時と随時での違い)」や「特定健診問診項目」が変更されましたね。
まとめ
産業保健師に向いている人は、医療や保健衛生関連の知識を持ち、コミュニケーション能力や問題解決能力を備えている人です。また、健康と安全を守るための使命感と責任感を持ち、チームワークを大切にできる人が活躍できる職場です。
今回お話しした8項目全てに当てはまらなくても、大丈夫。入職後に経験を積みながら、覚えていく・身につけていくスキルがあってもいいのです。まずは産業保健師の仕事をよく知り、自分が働いている明確なイメージをもってみることから始めましょう。
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